バイオリンにも使われていたプロポリス
プロポリスは、化粧品や日焼け止め、点眼薬、鎮静剤など幅広い分野で利用されています。意外な用途ではバイオリンの艶出しとしても使われていました。
名器ストラディヴァリウスにも使われています。
プロポリスを使用した理由は何でしょうか。
永遠の名器
ストラディヴァリウスは、17~18世紀に弦楽器製作者として名を馳せたアントニオ・ストラディヴァリによってイタリアで作られました。約300年ほどの時を経ても、その音色は多くの演奏家や聴衆を魅了しています。
多くの研究者が、その変わらぬ楽器の美しさと音色の秘密を探ろうと、材質や作り、塗装などを調べました。
そして、上塗りのニスにポルトガルのクレモナ地方で採れるプロポリスが含まれていることを確認しました。
古代エジプトではミイラの防腐剤として使われたように、強い殺菌・抗菌作用があるため、バイオリンの美しさを未だに保っているのです。
普通の家具などであれば、大切にしていたとしても、多少の劣化が見られるものです。
むしろ、プロポリスに含まれる蜜蝋が光沢剤の役割を果たし、長い年月を経るごとに輝きを増しています。
プロポリスが奏でる響き
プロポリスの果たしている役割は楽器を長持ちさせるということだけではありません。楽器の音色には、使われる木の材質も重要な要素ですが、最終的には、仕上げに使われるニスが左右します。
ストラディヴァリウスのニスの成分には、絶滅した虫の羽根、植物、鉱物に加え、プロポリスが含まれています。
調合の割合は分かっていませんが、そのニスと木材の親和性が高く、楽器としての美しさと音色を実現しています。
伸びやかな張りのある音色は、木材とニスのハーモニーです。
上塗りに使われているニスが、木を劣化させることなく守り、衰えることのない美しい響きを伝えています。
プロポリスを使用したバイオリンの素晴らしさに感謝するのみです。
ストラディヴァリの息子たちが相次いで亡くなったため、その制作技術は受け継がれていないことは残念です。
現存する彼のバイオリンは約600丁といわれます。
いつまでも美しい音色を響かせることを祈りたいと思います。